猫の口内炎に悩む飼い主様へ|札幌で受けられる治療とご自宅でのケア

「最近、うちの猫がカリカリを食べるのをためらうようになった」「大好きだったおやつを口にしなくなった」こうした小さな変化は、飼い主様にとって見過ごせないサインのひとつです。
猫の「口内炎」は、見逃されやすい疾患のひとつですが、食欲不振や元気がない原因として実は多い症状でもあります。
札幌のように寒暖差のある地域では、体調の変化に伴って口腔内のトラブルが起きやすくなるため、特に注意が必要です。
今回は、猫の口内炎の基礎知識、治療法、そしてご自宅でできる日常のケア方法について解説します。
■目次
1.猫の口内炎とは?
2.猫の口内炎が起こる主な原因
3.治療の選択肢
4.自宅でできる口内炎のケアと予防策
5.まとめ
猫の口内炎とは?
猫の口内炎とは、口の中の粘膜(歯ぐきや舌の裏側など)に慢性的な炎症が起きている状態を指します。
軽度であれば赤みや口臭が出る程度のこともありますが、進行すると潰瘍ができたり、出血を伴ったりすることもあります。
以下のような症状が見られる場合は、口内炎の可能性があります。
・ごはんを途中で食べるのをやめてしまう
・食べたあとに口を気にして前足で顔をかく
・よだれが増える、垂れる
・食欲はあるのに、食べたがらない
・強い口臭がする
猫はもともととても我慢強い動物です。よほど痛みが強くない限り、はっきりと症状を見せることは少なく、食欲不振や食べ方の変化が、最初のサインになることも多くあります。
猫の口内炎が起こる主な原因
猫の口内炎は、ひとつの原因だけでなく、複数の要因が重なって発症することも多いと言われています。
ここでは、代表的な原因をいくつかご紹介します。
◆歯周病との関連
もっともよく見られる原因が、「歯周病」に関連した炎症です。
歯に付着した歯垢が歯石となり、歯肉に炎症を起こすことで、口内炎へと進行していくケースです。特に、歯みがきなどのデンタルケアが不足している猫に起こりやすい傾向があります。
◆免疫介在性疾患
免疫の異常が関係しているタイプもあります。
本来は体を守るはずの免疫が、自分自身の粘膜を攻撃してしまうことで、慢性的な炎症が起こるケースです。
◆ウイルス感染
猫白血病ウイルス(FeLV)、猫エイズウイルス(FIV)、猫カリシウイルスなど、特定のウイルスに感染することで免疫力が下がり、口内炎が悪化しやすくなることがあります。
◆体質・遺伝的な要素
猫によっては、生まれつき口腔内が炎症を起こしやすい体質を持っている場合もあります。
すべての猫にあてはまるわけではありませんが、兄弟猫や親猫に同じ症状がある場合は、体質も一因かもしれません。
◆食事や環境のストレス
硬すぎるフードや合わない食材、急な食事の変更が口腔内を刺激して炎症を悪化させることもあります。
また、寒暖差や生活環境の変化によるストレスも、免疫バランスを崩す要因になります。
治療の選択肢
猫の口内炎は原因や症状の程度に応じて、適切な治療法を選ぶことが大切です。
主な治療には以下のような方法があります。
<内科的治療>
抗生物質やステロイドなどを用いて炎症を抑える方法です。
軽度な症状のときや、根本的な治療が難しい場合に選ばれます。
<歯科処置>
歯石の除去や、炎症の原因となる歯を抜歯することで、物理的に刺激を取り除く治療です。
症状が重い場合は、奥歯(臼歯)をすべて抜歯するケースもあります。
<サプリメントや栄養補助>
免疫力のサポートとして、オメガ3脂肪酸や特定の栄養素を含むサプリメントが使われることもあります。
<レーザー治療・免疫療法>
近年では、レーザーを使って炎症を軽減する方法や、インターフェロンなどを用いた免疫療法も選択肢のひとつとなっています。
猫の口内炎は自然に治ることが少なく、放っておくと痛みがどんどん強くなってしまうことがあります。
愛猫のつらさを少しでも和らげてあげるためには、早めに動物病院を受診し、原因に合った適切な治療を受けることが何よりの第一歩です。
自宅でできる口内炎のケアと予防策
動物病院での治療とあわせて、ご家庭でのケアも口内炎の予防や再発防止にはとても大切です。
毎日のちょっとした積み重ねが、愛猫のお口の健康を守ることにつながります。
◆猫の歯みがき
猫にとって歯みがきは少しハードルの高いケアですが、できる範囲から少しずつ慣らしていくことが大切です。
まずは、口まわりに触れる練習から始めてみましょう。
慣れてきたら、ガーゼや指サック型のブラシを使って、歯をなでるようにやさしくケアしていきます。
◆定期的なお口のチェック
猫の口内炎は慢性化しやすく、再発もしやすい疾患です。定期的にお口の中を見て、赤み・口臭・よだれの量などに変化がないかをチェックしましょう。
◆ストレスの軽減
環境の変化や多頭飼育のストレスも、免疫のバランスを崩し、口内炎を悪化させる要因になることがあります。
猫が安心して過ごせる静かなスペースを確保する、落ち着いた生活リズムを整えるなど、ストレスの少ない環境づくりを心がけましょう。
まとめ
猫の口内炎は、「ごはんを残す」「元気がない」といった小さなサインの裏に隠れていることが多く、日常の中で見逃されやすい症状のひとつです。
ですが、「いつもと違う」に気づいたときに、早めに動物病院を受診することが、症状の悪化を防ぎ、愛猫が快適に過ごすための第一歩になります。
口内炎の症状や、お口のケアでお悩みのことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
飼い主様と大切な愛猫が、安心して過ごせるよう、私たちがしっかりとサポートいたします。
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北海道札幌市の「アイリス動物医療センター」