犬や猫のストレスサインとは?|札幌で受けられる行動診療と自宅ケアのポイント

最近、「なんとなく元気がない」「いつもより落ち着きがない」「急に食欲がなくなった」といった、愛犬・愛猫の変化に気づいたことはありませんか?
「病気かもしれない」と思って体の検査をしてみても、特に異常は見つからない。
実は、こうした変化の背景にはストレスが原因となっているケースも少なくありません。
今回は、犬や猫がストレスを感じているときに見せるサインの見極め方と、当院で行っている行動診療によるストレスケアの方法についてご紹介します。
■目次
1.犬と猫のストレスサインとは?|行動の変化に注目
2.ストレスを見逃さないために|日常でできるチェックポイント
3.札幌で受けられるストレスケア|行動診療という選択肢
4.飼い主様ができるサポート|おうちでできるストレスケアの工夫
5.まとめ
犬と猫のストレスサインとは?|行動の変化に注目
犬や猫は、ストレスを感じても言葉で訴えることができません。
だからこそ、日常のちょっとした行動の変化に飼い主様がいち早く気づいてあげることが大切です。
ここでは、犬と猫に共通して見られるストレスサインのほか、それぞれに特有の行動もあわせてご紹介します。
<共通してよく見られるストレスサイン>
・食欲の低下、または過食になる
・眠りが浅くなる/いつもと違う場所で寝るようになる
・トイレの失敗が増える(特に猫で多く見られます)
・同じ動作を繰り返す(常同行動)
・攻撃的になる/隠れる時間が増える
・鳴き声が増える、声のトーンが変わる
<犬に多いストレスサイン>
・飼い主様のあとを過剰に追いかける(分離不安)
・吠える頻度が増える/家具や物を壊すなどの破壊行動
・体をしきりになめ続け、脱毛につながる
<猫に多いストレスサイン>
・トイレ以外の場所で排泄する
・グルーミングが過剰になる、またはまったくしなくなる
・家族との距離を急に取るようになる
ストレスを見逃さないために|日常でできるチェックポイント
ストレスは、体調不良や行動の変化の引き金になることがあります。
毎日のちょっとした様子を観察することで、早めに異変に気づいてあげることができます。
以下のポイントを参考に、日々の生活の中で意識してみてください。
◆食欲・水分摂取量の変化
・ごはんを食べる量が減っていないか?
・急にがっつくようになっていないか?
・水の飲む量が極端に増減していないか?
◆睡眠・活動量の変化
・寝る時間が不規則になっていないか?
・昼夜のサイクルが乱れていないか?
・以前より遊ばなくなった、元気がないと感じることはないか?
◆トイレの状態
・排尿・排便の回数や時間帯に変化がないか?
・トイレの場所を間違えることが増えていないか?
・排泄時に緊張しているような様子はないか?
◆グルーミングの様子
・毛づくろいを頻繁にしすぎていないか?
・逆に、まったくグルーミングをしなくなっていないか?
◆鳴き声・態度の変化
・鳴き声が普段より大きくなっていないか?
・甘え方やそばに寄ってくる頻度が変わっていないか?
・ボディランゲージに「いつもと違う」違和感はないか?
こうしたサインの一つひとつは見落とされがちですが、複数が重なっている場合には早めの対応が必要です。
札幌で受けられるストレスケア|行動診療という選択肢
「最近、急に落ち着きがなくなった」「鳴き声が増えたけれど、病気ではなさそう…」
そんなとき、もしかするとそれは心の不調のサインかもしれません。
当院では、こうした行動の変化に着目し、専門的にサポートする「行動診療」を行っています。
<行動診療とは?>
行動診療は、単なる“しつけ相談”とは異なり、獣医師が医学的な視点から行動の背景にある原因を探る診療分野です。
まずは詳しい問診を通じて、生活環境や日常の行動パターンを丁寧にお伺いします。
そのうえで、必要に応じて身体疾患との関連性を確認するため、健康チェックや検査を行うこともあります。
身体面と精神面、両方の視点から総合的に判断することで、より的確な対応が可能になります。
<一頭一頭に合わせたサポート>
診断結果に応じて、以下のようなアプローチを組み合わせていきます。
・行動修正トレーニング
・環境の整え方に関するアドバイス
・必要に応じての薬物療法(抗不安薬など)
飼い主様と一緒に二人三脚で取り組みながら、少しずつ行動の改善を目指していきます。
身体と心の両面からケアできるのは、動物の医学に基づいた診療を行う獣医師だからこそできることです。
「いつもと違うかも?」と感じたら、行動診療という選択肢を検討してみてください。
飼い主様ができるサポート|おうちでできるストレスケアの工夫
ストレスケアは、動物病院での診療だけでなく、ご家庭でのちょっとした工夫でも十分に取り組むことができます。
ここでは、すぐに実践できるポイントをいくつかご紹介します。
◆環境づくりの工夫
安心して過ごせる寝床や、静かで暗めの「隠れ場所」は、猫だけでなく犬にとっても大切なストレス緩和スペースです。
ケージの上に布をかけたり、落ち着けるベッドを用意したりすることで、不安を感じたときに自分から落ち着ける場所があるという安心感につながります。
◆接し方のバランス
飼い主様の「構いすぎ」や、反対に「放っておく時間が長すぎる」ことは、犬や猫にとってストレスの原因になることもあります。
性格や日常の様子に合わせて、触れ合うタイミングや距離感を上手に調整してあげることが大切です。
◆補助的ケアの活用
最近では、ストレス軽減に配慮されたフェロモン製剤や専用の療法食(フード)なども市販されています。
また、おもちゃを使った遊び時間や知育トイの活用は、気分転換や心の刺激として非常に効果的です。
※これらの補助的ケアを取り入れる際は、必ずかかりつけの獣医師にご相談のうえで使用してください。
ストレスは目に見えにくく、つい見過ごしてしまいがちですが、早く気づいてあげることで症状の悪化や病気のきっかけを防ぐことができます。
まとめ
犬や猫は、ストレスを感じても言葉で伝えることができません。
そのため、「隠れる」「食欲が落ちる」「同じ場所を舐め続ける」といったさりげない行動の変化が、重要なサインとなることがあります。
当院では、行動診療に精通した獣医師が在籍しており、生活環境の見直しやトレーニング、必要に応じてお薬の使用を含めた個別の対応が可能です。
医学的な視点から、心のケアと向き合うサポートを行っております。
「なんだかいつもと違うかも」と感じたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
北海道札幌市の「アイリス動物医療センター」