犬と猫の皮膚トラブル|かゆみ・赤み・湿疹に潜む原因と治療法 -アイリス動物医療センター|札幌市白石区の動物病院

犬と猫の皮膚トラブル|かゆみ・赤み・湿疹に潜む原因と治療法

犬と猫の皮膚トラブル|かゆみ・赤み・湿疹に潜む原因と治療法

愛犬や愛猫が「最近、よく体を掻いているな」「赤い発疹があるみたい…」と感じることがあれば、それは皮膚トラブルのサインかもしれません。

 

犬や猫の皮膚トラブルは、動物病院で特によく相談されるお悩みの一つです。

原因としては、アレルギーや感染症、寄生虫、さらには季節の変化など、いろいろな要因が考えられます。

 

また、皮膚に現れる症状は、単なるかゆみや発疹だけではなく、体全体の健康状態を映し出している場合もあります。

 

今回は、犬や猫に多い皮膚トラブルの症状やその原因、さらに動物病院で行われる治療について解説します。

 

■目次
1.犬や猫に多い皮膚トラブルとその症状
2.皮膚トラブルを引き起こす主な原因
3.動物病院を受診するタイミングとは?
4.皮膚トラブルを放置するリスクとは?
5.動物病院で行われる診断方法
6.皮膚トラブルに対する治療方法
7.自宅でできるケア方法
8.予防法やご家庭での注意点
9.まとめ

 

 

犬や猫に多い皮膚トラブルとその症状


犬や猫の皮膚トラブルには、いくつかの代表的な種類があります。れぞれの症状や特徴を知っておくことで、早めに異変に気づき、適切に対処することができます。

 

<アレルギー性皮膚炎>

花粉やハウスダストなどのアレルゲンや、特定の食材による食物アレルギーが原因で起こる皮膚炎です。

 

かゆみや赤み、脱毛、皮膚が黒っぽくなる色素沈着が主な症状として現れます。特に、足先や顔周り、耳を掻く仕草が目立つことが多いのが特徴です。

 

・犬の場合:足をしきりに舐めて皮膚を傷つけたり、外耳炎を併発したりすることがあります。

・猫の場合:顔や首の周りに赤い発疹が現れることが多いです。

 

<細菌感染(膿皮症)>

皮膚にできた傷や免疫力の低下が原因で細菌が増殖し、炎症を引き起こす病気です。膿がたまった小さなできもの(膿疱)やフケ、独特の臭いが発生することがあり、かゆみや痛みを伴う場合もあります。

 

・犬の場合:背中やお腹に炎症が起きやすいです。

・猫の場合:過剰なグルーミングで皮膚を傷つけ、毛の薄い部分に症状が集中することが特徴です。

 

<真菌感染(皮膚糸状菌症)>

カビの一種である真菌が皮膚に感染して発症します。特に、若い犬や猫、または免疫力が低下している犬や猫に多く見られます。

円形に毛が抜け、赤みを帯びた皮膚が現れるのが特徴で、かゆみは軽度の場合もあります。

 

 

皮膚トラブルを引き起こす主な原因


犬や猫の皮膚トラブルは、さまざまな要因によって引き起こされます。日々の生活環境や食事もその一因となるため、原因を理解しておくことが大切です。

 

食物アレルギー

特定の食材に対するアレルギー反応が原因で発症します。一般的に、牛肉、鶏肉、小麦、大豆などがアレルゲンになることが多いです。

さらに、長期間食べ続けていたフードでも、突然アレルギー反応が出ることがあります。

 

環境アレルギー

花粉、ハウスダスト、カビなどが原因となるアレルギーです。季節によって症状が悪化しやすく、特に春や秋は注意が必要です。

愛犬や愛猫が季節ごとに体を掻く頻度が増える場合は、環境アレルギーを疑ってみてもよいかもしれません。

 

寄生虫(ノミ・ダニ)

ノミやダニが皮膚に寄生すると、強いかゆみや炎症が発生します。さらに、「ノミアレルギー性皮膚炎」といった二次的な症状を引き起こす場合もあります。

特に、屋外での活動が多い犬や猫はリスクが高いため、定期的な予防が大切です。

 

季節や環境の変化

乾燥した冬や湿気の多い夏も、皮膚トラブルの原因になります。乾燥によりフケが目立つことや、湿気が原因で細菌や真菌が増殖することがありますので、季節ごとに適切なケアを心がけることが大切です。

 

犬種や猫種による違い

犬では、柴犬やフレンチブルドッグ、ミニチュア・ピンシャーなどの犬種は、皮膚病のリスクが高い傾向があります。

 

一方、猫ではスフィンクスやデボンレックスといった被毛が薄い猫種は、環境の変化や刺激に敏感で皮膚トラブルを起こしやすいとされています。

 

 

動物病院を受診するタイミングとは?


犬や猫の皮膚トラブルには、軽い症状で経過観察が可能なものから、放置すると悪化してしまうケースまでさまざまです。

 

愛犬や愛猫の症状を見極めて、適切なタイミングで動物病院を受診することが大切です。

 

<経過観察できる症状>

以下のような軽度の症状で普段どおり元気に過ごしている場合は、しばらく様子を見ることができます。

 

軽度のかゆみ1〜2日以内に改善が見られる場合。

小規模な脱毛やフケ元気や食欲が通常通りである場合。

季節的な乾燥による軽い赤みやかゆみ保湿ケアなどで症状が和らぐ場合。

 

ただし、こうした症状が数日たっても改善しない場合は、早めに動物病院で相談することをおすすめします。

 

<すぐに受診が必要な症状>

以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

 

激しいかゆみ:頻繁に掻いたり舐めたりして皮膚が傷ついている場合。

 

出血や膿が出ている傷口が感染している可能性があり、放置すると症状が悪化してしまう恐れがあります。

 

広範囲の脱毛短期間で広い範囲の毛が抜けてしまう場合、皮膚疾患だけでなく、全身的な病気が隠れている可能性もあります。

 

皮膚の腫れや硬さ感染症や腫瘍の可能性が考えられます。

 

腫瘍についてはこちらから

 

体調の変化を伴う:かゆみや脱毛に加えて、発熱や元気がない、食欲が落ちるなどの症状がある場合は、全身性の病気が疑われます。

 

症状が急激に悪化:かゆみや脱毛が短時間に広がる場合や、掻き壊しや舐めすぎで傷口ができてしまった場合は、すぐに対処が必要です。

 

皮膚トラブルは放置すると治療が長引くこともありますので、少しでも気になる症状があれば、早めに動物病院に相談してみましょう。

 

 

皮膚トラブルを放置するリスクとは?


皮膚トラブルをそのままにしておくと、思わぬリスクにつながることがあります。以下に、放置することで起こり得る主な問題をご紹介します。

 

二次感染のリスク

掻き壊しや傷口がある場合、そこから細菌や真菌が侵入し、炎症が広がることがあります。これにより、「膿皮症」や「化膿性皮膚炎」といった感染症に進行し、痛みや不快感が増してしまいます。

 

慢性化

症状を長期間放置すると、皮膚が厚くなる「苔癬化」や、黒ずみが目立つ「色素沈着」が起こることがあります。こうなると治療が難しくなるだけでなく、完治までに時間がかかる場合があります。

 

全身性疾患の進行

皮膚の異常は、実はアレルギーや免疫疾患、さらには内臓疾患といった全身的な病気のサインであることも少なくありません。

このような場合、症状を放置すると、病気そのものが悪化して愛犬や愛猫の健康全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

動物病院で行われる診断方法


皮膚トラブルが見られる場合、動物病院ではさまざまな検査を通じて原因を調べます。以下は主な診断方法です。

 

・視診

皮膚の状態や脱毛、赤み、傷の有無を直接観察します。症状が現れている部位や広がり具合を確認し、原因特定の手がかりを探します。

 

・触診

皮膚の硬さや腫れ、しこりがあるかを触って確認します。

 

・皮膚検査

患部から皮膚や毛を採取し、顕微鏡で細菌や真菌、寄生虫(ノミ・ダニなど)の有無を調べます。真菌感染や寄生虫が疑われる場合には特に有効な検査です。

 

・アレルギー検査

アレルギーが疑われる場合、血液検査皮内テストでアレルゲン(花粉や食材など)を特定します。

また、食物アレルギーの場合は、特定の食材を除いた食事を与える「除去食試験」が行われることもあります。

 

・血液検査

皮膚の症状が内臓疾患やホルモン異常(例:甲状腺疾患)と関連している場合、血液検査で体の状態を詳しく調べます。

 

・細菌培養検査

皮膚感染が慢性化している場合、感染している細菌の種類を特定するために行います。この検査は、適切な抗生物質を選ぶために非常に重要です。

 

 

皮膚トラブルに対する治療方法


皮膚トラブルの治療は、その原因によって異なります。

 

<投薬治療>

かゆみを抑えるために抗ヒスタミン薬やステロイド剤が使用されることがあります。感染症が原因の場合には、抗生物質や抗真菌薬が処方されます。

 

また、最近ではアレルギー性皮膚炎に対して免疫を調整する薬が用いられることもあり、症状の緩和に効果的です。

 

<シャンプー療法>

薬用シャンプーを使用して皮膚を清潔に保つことで、感染や炎症を抑える治療法です。皮膚の状態に合わせて、抗菌、抗真菌、保湿効果のあるシャンプーを選びます。

 

定期的なシャンプーケアは、症状を和らげるだけでなく再発予防にも役立ちます。

 

<食事療法>

食物アレルギーが原因の場合は、アレルゲンを含まない療法食への切り替えが必要です。食事管理は、症状の改善や再発防止のために非常に重要であり、動物病院での指導に従って行います。

 

<生活環境の改善>

ノミやダニの予防として、室内を清潔に保つことが大切です。さらに、定期的に駆虫薬を使用することで寄生虫のリスクを軽減します。

また、空気中の花粉やハウスダストなど、環境アレルゲンへの対策も有効です。

 

 

自宅でできるケア方法


愛犬や愛猫の皮膚トラブルを防ぐためには、日常的なケアが欠かせません。ここでは、適切なシャンプー方法やスキンケア用品の選び方、日常的な予防策について詳しくご紹介します。

 

<適切なシャンプーの頻度と方法>

・シャンプーの頻度

犬や猫の皮膚状態や生活環境によりますが、一般的には1か月に1回程度のシャンプーが基本です。ただし、皮膚が乾燥しやすい場合やアレルギー体質の場合は、回数を減らすか、獣医師に相談して最適な頻度を決めましょう。 

 

・シャンプーの手順

1.ブラッシング

シャンプー前にブラッシングをして毛のもつれや汚れを取り除きます。

 

2.ぬるま湯で全身を濡らす

40℃以下のぬるま湯を使い、全身をしっかり濡らします。

 

3.シャンプー剤を泡立てて使用

直接皮膚にシャンプーをかけず、よく泡立ててから皮膚に優しくなじませます。

特に足裏、毛の根元、しっぽの付け根をしっかり洗いましょう。

 

4.念入りにすすぐ

シャンプー剤が残ると皮膚に刺激を与えるため、念入りにすすぎます。

 

5.完全に乾かす

タオルで水気を拭き取った後、ドライヤーを低温で使用して完全に乾かします。湿気が残ると細菌や真菌が繁殖しやすくなるため注意が必要です。

 

<スキンケア用品の選び方と使用方法>

・シャンプー剤の選び方

犬猫専用のシャンプーを使用しましょう。人間用のシャンプーは皮膚のpHが異なるため使用を避けてください。

アレルギー体質の場合は、低刺激性や保湿成分が含まれた薬用シャンプーがおすすめです。

 

・保湿ケア

乾燥が気になる場合は、保湿スプレーやローションを活用しましょう。耳の後ろや足裏、腹部など乾燥しやすい部分に重点的に塗布してください。獣医師が推奨する製品を使うと安心です。

 

・皮膚バリアを強化する用品

セラミドなど皮膚を保護する成分が含まれたスキンケア商品を取り入れるのも効果的です。新しい製品を使う際は、獣医師に相談することをおすすめします。

 

 

予防法やご家庭での注意点


愛犬や愛猫の皮膚トラブルを防ぐためには、普段の生活環境や習慣を見直すことが大切です。

 

まず、部屋を常に清潔に保つように心がけましょう。ほこりやダニを減らすためにこまめに掃除を行い、犬や猫が使うベッドやブランケットも定期的に洗濯してください。

また、室内が乾燥しすぎると皮膚が荒れやすくなるため、加湿器を活用して湿度を50〜60%に保つのがおすすめです。

 

食事面でも工夫が必要です。皮膚の健康に役立つオメガ3脂肪酸(魚油など)やビタミンA・Eを含むフードを選ぶことで、体の内側から健康をサポートできます。

もし食物アレルギーが疑われる場合は、獣医師と相談しながらアレルギー対応の療法食を試してみましょう。

 

さらに、ノミやダニの寄生は皮膚トラブルの大きな原因となるため、定期的に駆虫薬を使用することが重要です。室内外での寄生虫対策を徹底して行い、安心できる環境を整えてください。

 

日々のケアとして欠かせないのがブラッシングです。毎日行うことで抜け毛やフケを取り除けるだけでなく、皮膚の血行促進にもつながります。

短毛種は週に数回長毛種は毎日ブラッシングするのが理想的です。こうした予防策を続けることで、愛犬や愛猫の皮膚を健やかに保つことができるでしょう。

 

 

まとめ


犬や猫の皮膚トラブルを防ぐためには、日々のケアが何よりも大切です。適切なシャンプーや保湿ケア、そして清潔な生活環境を整えることで皮膚の健康を守ることができます。

さらに、栄養バランスの取れた食事を心がけることや、寄生虫対策をしっかり行うことも、皮膚トラブルの予防に欠かせません。

 

毎日の暮らしの中で犬や猫の体を丁寧に観察し、少しでも「いつもと違うな」と感じたら、早めにケアや対策を始めることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。

 

 

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