愛犬や愛猫が肝臓腫瘍と診断されたら|早期発見で治療の選択肢を広げる - アイリス動物医療センター|札幌市白石区の動物病院

愛犬や愛猫が肝臓腫瘍と診断されたら|早期発見で治療の選択肢を広げる

愛犬や愛猫が肝臓腫瘍と診断されたら|早期発見で治療の選択肢を広げる

「肝臓に腫瘍があるかもしれません」と言われたら、とても心配になりますよね。愛犬や愛猫は家族同然の存在だからこそ、不安や戸惑いはとても大きいと思います。

 

肝臓は、体の中でも特に重要な働きを持つ臓器です。食べたものを栄養に変えたり、老廃物を体の外に排出したりと、毎日の健康を支える中心的な役割を担っています。

 

しかし、肝臓腫瘍は早期発見と適切な治療で、愛犬や愛猫が元気な毎日を取り戻せる可能性があります。動物医療は日々進化しており、治療法も以前に比べて多くの選択肢が用意されています。

 

今回は、肝臓腫瘍について知っておくべき基本的な情報や、早めに気づくための症状のポイントなどを解説します。

 

■目次
1.肝臓腫瘍とは?
2.症状
3.診断方法
4.セカンドオピニオンの重要性
5.治療方法と実際の治療例
6.治療後の経過と予後
7.まとめ

 

 

肝臓腫瘍とは?


 

肝臓腫瘍とは、肝臓の細胞が異常に増殖して塊を作る状態を指します。腫瘍には、周囲の組織に影響を与えにくい良性腫瘍と、他の臓器に広がる可能性がある悪性腫瘍の2種類があります。

 

肝臓は、栄養の代謝や毒素の解毒、血液を固める凝固因子の生成など、体にとって重要な働きを担う臓器です。そのため、肝臓に腫瘍ができると、健康や生活の質に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

良性腫瘍

良性腫瘍は体内で増殖しますが、他の臓器に広がることはありません。一般的に、予後が良い場合が多いです。

 

悪性腫瘍

一方で、悪性腫瘍には肝細胞癌や転移性腫瘍などが含まれます。他の臓器に転移するリスクが高く、治療が難しいことも少なくありません。

 

<犬と猫、それぞれの特徴>

肝臓腫瘍の種類は犬と猫で異なる傾向があります。

 

犬の場合

肝細胞由来の腫瘍(結節性過形成や肝細胞癌)が最も多いとされています。

 

猫の場合

胆管癌の発生が多い傾向があります。

 

また、犬や猫に共通して見られるものとして、血管肉腫、平滑筋肉腫、線維肉腫なども挙げられます。

 

<年齢と発症の関係>

肝臓腫瘍は、主に中高齢の犬や猫に多く見られる病気です。これは、加齢によって細胞の異常増殖が起こりやすくなることが原因の一つと考えられています。

 

 

症状


 

肝臓腫瘍の症状は、初期段階では目立たないことが多く、病気が進行するにつれて徐々に現れる傾向があります。

 

愛犬や愛猫に以下のようなサインが見られた場合は、できるだけ早く動物病院で診察を受けるようにしましょう。

 

食欲不振:いつも食べているフードを食べなくなる、または食べる量が明らかに減ることがあります。

 

嘔吐や下痢消化器系の不調が続く場合、肝臓に何らかの異常が起きている可能性があります。

 

お腹の膨れ腫瘍が大きくなったり腹水が溜まると、腹部が膨らんで見えることがあります。

 

元気の低下遊ぶのを嫌がるようになったり、ぐったりと横になる時間が増えることがあります。

 

黄疸肝臓の機能が低下すると、目や歯茎が黄色く見えることがあります。

 

 

診断方法


 

肝臓腫瘍の診断には、さまざまな検査が行われます。これらの検査により腫瘍の有無や状態を確認し、治療方針を決定します。

 

血液検査

肝機能を示す酵素(ALTやALP)やビリルビン値の異常を調べます。これにより、肝臓の健康状態を把握できます。

 

エコー検査(超音波検査)

肝臓の内部構造を観察し、腫瘍の有無や大きさ、血流の状態を確認します。この検査は非侵襲的で、動物への負担が少ないのが特徴です。

 

レントゲン検査

肝臓の大きさや、肺や腹部の臓器に腫瘍が転移していないかを調べます。

 

<CT/MRI>

CTやMRIは、腫瘍の正確な位置や大きさ、周囲の臓器との関係を詳しく把握するのに役立ちます。特に、手術を計画する際に重要です。

 

<生検による確定診断>

腫瘍が良性か悪性かを見極めるために、生検が行われることがあります。この検査では、腫瘍の一部を採取して詳しく調べ、腫瘍の種類や進行状況を判断できるため、最適な治療法を検討することが可能になります。

 

 

セカンドオピニオンの重要性


 

診断や治療方針に迷いや不安を感じたときは、セカンドオピニオンを検討してみましょう。別の専門医に意見を聞くことで、新たな視点が得られる場合もあります。

飼い主様が納得して進められる治療法を選ぶことができるかもしれません。

 

セカンドオピニオンについてはこちらから

 

 

治療方法と実際の治療例


 

肝臓腫瘍の治療法は、腫瘍の性質や進行度、愛犬や愛猫の全身の健康状態によって異なります。ここでは、具体的な症例をもとに、治療方法について解説します。

 

<症例1:肝細胞癌(外科手術)>

この症例では、肝臓の腫瘍が一部に局所化しており、周囲の組織や臓器への転移はありませんでした。そのため、外科手術による腫瘍の切除が選ばれています。手術によって腫瘍を取り除くことで、良好な経過が期待できるケースです。

 

外科手術は、腫瘍を完全に取り除くことを目指す治療方法です。腫瘍が適切な位置や大きさであり、さらに愛犬や愛猫の体力が十分にある場合に実施されます。

 

症例の詳細はこちらから

 

<症例2:進行性肝臓腫瘍>

この症例では、急に元気がなくなったことを心配した飼い主様が来院されました。検査の結果、肝臓に大きな腫瘍があり、そこからの出血が疑われました。そのため、開腹手術を行い、腫瘍を摘出しました。

 

術後は順調に回復し、元気な姿で退院することができました。

 

症例の詳細はこちらから

 

 

治療後の経過と予後


 

治療後の経過は、手術やケアの内容によって異なります。

手術後に定期検査を受け、腫瘍の再発が確認されなければ、元気な日々を取り戻せるケースも多くあります。

 

一方で、進行した腫瘍の場合には、少しでも快適に過ごせるよう「緩和ケア」が重要になります。緩和ケアを行うことで、腫瘍による痛みを軽減し、穏やかな時間を過ごせる可能性があります。

 

また、延命治療を進める場合には、生活の質(QOL)をどのように保つかをしっかりと考えることが必要です。飼い主様と獣医師が話し合いながら、愛犬や愛猫にとって最善の選択を一緒に見つけていきましょう。

 

<術後のケアと生活管理>

術後の回復を促し、再発を防ぐためには、日常生活でのケアが欠かせません。以下の点を意識した生活管理を行いましょう。

 

食事管理

肝臓への負担を軽くするために、低脂肪で消化しやすい植物性タンパク質を含む療法食を取り入れます。

 

運動管理

無理のない範囲で適度な運動を行い、ストレスを減らすよう心がけましょう。愛犬や愛猫が安心できる静かな環境を整えることも大切です。

 

薬の服用

術後は抗生物質や痛み止めが処方されることがあります。獣医師の指示を守り、適切に投与しましょう。

 

<定期検査の重要性>

術後や緩和ケア中には、定期検査で健康状態を継続的に確認することが大切です。定期検査を受けることで、再発や新たな問題を早期に発見することができます。

 

検査頻度

一般的に、術後は1~3か月ごとに定期検査を行います。腫瘍の再発リスクが低くなれば、検査間隔を少しずつ広げることも可能です。

 

 

まとめ


 

肝臓腫瘍は、早期発見と適切な治療によって予後を大きく改善できる可能性があります。

そのためには、血液検査や画像診断、生検などの専門的な検査が重要です。

 

治療後は、経過観察や定期検査を続けながら、愛犬や愛猫の健康をしっかり見守ることが大切です。

 

また、日々の小さな変化に気づいたときには、獣医師に相談しながら一緒にケアを進めていくことで、愛犬や愛猫の元気な暮らしを支えることができます。

 

もし気になることや症状があれば、早めに動物病院に相談しましょう。

 

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