犬の歯周病は早期治療がカギ｜札幌で受けられる歯科手術と術後ケアのポイント
歯周病は年をとってからの病気だと思っていませんか？
実は、歯周病は若い愛犬にも起こりうる身近な疾患であり、見た目にはわかりにくく、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。
特に、毎日のお口のケアが難しい犬では、幼少期から歯周病が進行していることもあります。
「まだ若いから大丈夫」と思っていたのに、いつの間にか重症化していた……ということもあるため、日頃から注意が必要です。
そこで今回は、犬の歯周病について、基本的な知識から手術の内容、札幌で当院が行っている治療、さらに手術後の回復ケアまでをわかりやすくご紹介いたします。
■目次
1.犬の歯周病とは？
2.放っておくとどうなるの？｜歯周病が体に与える影響
3.札幌で受けられる犬の歯周病手術｜治療の流れと注意点
4.手術後のケアと再発予防
5.まとめ
犬の歯周病とは？
歯周病とは、歯と歯茎のあいだにたまった歯垢や歯石に含まれる細菌によって、歯茎や歯を支えている骨（歯槽骨）に炎症が起こる病気です。
初期の段階では「歯肉炎」と呼ばれ、歯茎が赤く腫れたり、軽い口臭が出たりといった症状が見られます。しかし、そのまま放置すると病気は進行し、「歯周炎」へと移行します。すると、歯茎が下がって歯がぐらついたり、痛みや出血が起こったりと、より深刻な状態になってしまいます。
特に小型犬は、歯の大きさに対して顎が小さく、歯が密集して生えています。
そのため、歯垢や歯石がたまりやすく、歯周病が進行しやすい傾向があります。
病気が進行すると歯が抜け落ちてしまうことがあり、さらに重度の場合には顎の骨が折れてしまうこともあります。
口臭が強くなる、食べ方が変わる、片側の歯でしか噛まなくなるといった行動の変化にも注意して、日頃からよく観察してあげることが大切です。
放っておくとどうなるの？｜歯周病が体に与える影響
歯周病の怖さは、実はお口の中だけにとどまりません。
炎症によって増殖した細菌が血流に乗って全身を巡ることで、次のような病気を引き起こすリスクが高まるといわれています。
・心臓疾患：特に「心内膜炎」のリスクが指摘されています。
・腎臓病：慢性的な炎症が腎臓に悪影響を及ぼす可能性があります。
・肝機能障害：細菌や炎症が肝臓に悪影響を及ぼすこともあると考えられています。
このように、歯周病は「口の病気」ではなく、「全身の健康」に深く関わる重大な疾患といえます。
札幌で受けられる犬の歯周病手術｜治療の流れと注意点
犬の歯周病手術には、全身麻酔が必要となります。
そのため、手術前には血液検査や胸部レントゲンに加え、必要に応じて心電図検査を行い、麻酔に耐えられる状態かどうかを総合的に確認します。
※心電図はすべての症例に実施するのではなく、動物の状態に応じて判断しています。
高齢の犬や持病がある場合でも、安全性を高めるための対策を講じたうえで、慎重に手術を行いますのでご安心ください。
実際の手術では、まずスケーリング（歯石除去）を行い、歯の表面や歯周ポケットにたまった歯石や細菌を丁寧に除去します。
その後、必要に応じてぐらついている歯や、歯槽骨にまで影響が及んでいる歯を抜歯し、感染の拡大を防ぎます。
手術時間は症例によって異なりますが、通常は1〜2時間程度で終了します。
また、当院には歯科処置に精通した獣医師が複数在籍しており、愛犬にとってより専門的で丁寧なケアを行える体制を整えています。
手術後のケアと再発予防
手術後は、麻酔から目覚めた犬の体調を慎重に観察しながら、数時間から1日程度の入院を行うのが一般的です。
ご自宅に帰ったあとは、まずお水を与え、むせずに飲めるかを確認してから食事を与えましょう。最初は硬いフードではなく、消化しやすく柔らかいフードに切り替えるのがおすすめです。
また、ご自宅では数日間はなるべく安静に過ごさせてあげることが大切です。
傷口の治癒状況を確認するため、術後1週間から10日以内に再診を受けていただく必要があります。
再発を防ぐためには、毎日のケアの継続が欠かせません。なかでも歯みがきは、もっとも効果的な予防法とされており、歯周病の再発リスクを大きく下げることができます。
歯ブラシに慣れていない場合は、ガーゼや歯みがきシートから少しずつ始めてみましょう。
また、デンタルガムや口腔ケア用サプリメントの使用、定期的なスケーリングの実施も効果的です。
まとめ
歯周病は進行性の病気であり、放っておいても自然に治ることはありません。
むしろ悪化することで歯を失うだけでなく、全身の健康に影響を及ぼし、命に関わるような病気を引き起こすリスクも高まります。
歯周病によって外科的な処置が必要になる犬は少なくありませんが、適切な治療を受けることで、お口の状態は大きく改善されます。
大切なのは、初期の症状に気づき、早めに動物病院を受診することです。それが、愛犬の健康を守るための第一歩となります。
当院では、愛犬の全身状態をしっかり確認したうえで、安全性に配慮した歯科治療を行っております。
お口のにおいや歯のぐらつき、食べ方の変化など、気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
■関連する記事はこちらから
・口臭の原因は歯石かも？｜札幌の動物病院でできる犬や猫の歯のケア
・札幌の動物病院で行う歯科治療｜抜歯が必要な症状と術後ケアのポイント
・愛犬や愛猫の歯の健康を守るために｜知っておきたい歯の病気と予防法
北海道札幌市の「アイリス動物医療センター」