札幌でも油断禁物!|犬と猫のノミ・ダニ対策と1年中の予防ポイント

「ノミやダニって、暖かい地域の話じゃないの?」
そう思っていらっしゃる札幌の飼い主様も多いかもしれません。
けれど実は、札幌のような寒冷地でもノミやダニには注意が必要です。
春から秋にかけての活動期はもちろんのこと、冬のあいだでも、暖房の効いた室内ではノミやダニが元気に活動することがあります。
ノミやダニは、ただかゆみや皮膚トラブルを引き起こすだけでなく、重い病気を媒介することもあるため、油断はできません。
ですが、正しい知識をもとに予防を行えば、愛犬・愛猫をこうしたリスクからしっかり守ることができます。
今回は、札幌で暮らす飼い主様に向けて、ノミ・ダニの基本知識から予防のポイント、実践しやすい対策方法までをわかりやすくご紹介します。
■目次
1.主なノミ・ダニの種類と特徴
2.ノミ・ダニ感染時の症状と健康リスク
3.ノミ・ダニ予防対策
4.主な予防薬のタイプ
5.ノミ・ダニの室内対策と環境コントロール
6.ノミ・ダニが発生してしまった場合の対処法
7.まとめ
主なノミ・ダニの種類と特徴
<ノミ>
ノミは体長2〜3mmほどの小さな吸血性の昆虫で、犬や猫、人間などの皮膚に寄生して血を吸います。
種類としては「イヌノミ」「ネコノミ」「ヒトノミ」などが知られており、特にネコノミは犬にも寄生することがあるため注意が必要です。
ノミが血を吸う際に分泌する唾液に対してアレルギー反応を起こすと、ノミアレルギー性皮膚炎を引き起こすことがあります。
この炎症では、激しいかゆみや脱毛、皮膚の赤みなどの症状が見られることが多く、愛犬・愛猫がつらい思いをしてしまうこともあります。
<ダニ>
ダニの中でも特に注意が必要なのが「マダニ」です。
マダニは、草むらや公園、河川敷などに潜んでおり、散歩中などに犬や猫の体に付着して吸血します。
マダニの怖い点は、ただ血を吸うだけではなく、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」などのウイルス感染症を媒介することです。
SFTSは人間にも感染する恐れがあるため、人獣共通感染症として非常に注目されており、予防がとても重要です。
ノミ・ダニ感染時の症状と健康リスク
愛犬・愛猫がノミやダニに寄生されると、以下のような症状が見られます。
・体を頻繁にかく
・皮膚の赤み、湿疹、脱毛
・元気がなくなる
・食欲が落ちる
・発熱やぐったりする(特にマダニ感染時)
こうした症状が見られた場合は見過ごさず、皮膚や被毛の状態をよく観察してみてください。
特にノミに寄生されている場合、体に大量のノミがついていることもあり、毛の中に小さなゴマ粒のような赤黒い粒が見えることがあります。これは「ノミの糞」で、寄生のサインのひとつです。
そのまま放置してしまうと、皮膚トラブルだけでなく、貧血や寄生虫(瓜実条虫など)への感染といった深刻な健康リスクにつながることもあります。
一方でマダニは比較的大きく、目視で確認できることが多いため、日頃からのスキンチェックがとても効果的です。
特に耳の後ろ、目のまわり、首のまわり、足の付け根などはマダニがつきやすい場所なので、こまめにチェックしてあげましょう。
マダニは血を吸う前は数ミリほどと小さいですが、吸血が進むと1〜2cmほどに膨れ上がるため、見つけた際は無理に取ろうとせず、すぐに動物病院へ相談するようにしましょう。
ノミ・ダニ予防対策
ノミやダニから愛犬・愛猫を守るための基本は、「継続」と「季節を問わないケア」です。
札幌のような地域では、春から秋にかけて草むらや公園でノミ・ダニに接触するリスクが高まります。特にお散歩の際や外出時は注意が必要です。
とはいえ、冬だからといって油断はできません。
暖房の効いた暖かい室内では、ノミやダニが一年中活動していることもあります。
そのため、季節に関係なく定期的な予防ケアを続けることがとても大切です。
主な予防薬のタイプ
ノミ・ダニの予防薬には、いくつかのタイプがあります。
それぞれに特長があり、愛犬・愛猫の体質や生活環境に合わせて選ぶことが大切です。
◆スポットタイプ
首の後ろに垂らして使うタイプで、簡単に使用できるのが特長です。数週間にわたって効果が続きますが、使用直後に雨に濡れたり、シャンプーをしたりすると効果が弱まることがあるため注意が必要です。
◆経口タイプ
おやつのように口から与えるタイプで、体の内側から全身に効果が行き渡ります。シャンプーの影響を受けにくい点もメリットです。基本的には月に1回の投与が必要です。
◆首輪タイプ
装着するだけでノミ・ダニの予防効果が得られ、数ヶ月間効果が持続するものもあります。
最近では、ノミ・ダニの予防に加え、フィラリア症や消化管内寄生虫も同時に予防できるお薬も登場しています。
併用や切り替えなどについても、ぜひ獣医師にご相談ください。
ノミ・ダニの室内対策と環境コントロール
予防薬による対策と合わせて、室内環境の管理もノミ・ダニ対策には欠かせません。
普段の暮らしの中でできることを取り入れるだけでも、寄生リスクをぐっと下げることができます。
以下のポイントを参考に、少しずつ取り組んでみてください。
◆定期的に掃除機をかける
特にカーペットやソファの隙間、家具の下など、ダニが潜みやすい場所は念入りにお掃除しましょう。
◆犬や猫の寝具はこまめに洗濯・天日干し
清潔に保つことで、ノミやダニの繁殖を防ぐことができます。
◆部屋の湿度を40〜60%に保つ
ダニは高湿度を好むため、湿度管理も有効な対策です。加湿器や除湿機を活用しましょう。
◆犬や猫の寝具にダニ取りマットを敷く
市販のダニ対策グッズを取り入れるのもおすすめです。
また、最近では、動物や人にもやさしい防虫スプレーやハーブミストなども販売されています。香りや成分が気になる場合や効果に不安がある場合は、獣医師にご相談のうえで使用することをおすすめします。
ノミ・ダニが発生してしまった場合の対処法
万が一、愛犬や愛猫にノミやダニが寄生しているのを発見した場合は、自己判断で処置を行わず、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
特にマダニの場合は注意が必要です。無理に引き抜こうとすると、口器(こうき)と呼ばれる部分が皮膚の中に残ってしまい、炎症や感染症を引き起こす原因になることがあります。
動物病院では専用の器具を使って安全に除去を行い、その後の治療や予防の計画を立てていきます。状態によっては、抗生剤や抗炎症薬の投与が必要になるケースもあるため、早めの対応がとても大切です。
また、1頭にノミやダニが寄生していた場合、すでに他の動物や家の中にも広がっている可能性があります。
複数頭を飼育されているご家庭では、全頭のチェックと予防処置を行うことをおすすめします。
まとめ
ノミやダニは、愛犬・愛猫にとってとても身近な存在です。
しかし、時に皮膚トラブルだけでなく、命に関わる病気を引き起こすこともあるため、日頃からの予防と早めの対策がとても大切です。
特に札幌のように自然が豊かな地域では、春から秋にかけての外出時にマダニが付着するリスクが高まります。
また、冬でも暖房によって室内でノミ・ダニが活動することもあるため、一年を通した予防が必要です。
当院では、愛犬・愛猫の体質やライフスタイルに合わせた予防プランをご提案しています。
「うちの子にはどんな予防が合うの?」「今からでも始められる?」といったご不安やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
大切なご家族である犬や猫たちが、一年中快適に、そして健康に過ごせるよう、私たちスタッフがしっかりとサポートさせていただきます。
■予防に関連する記事はこちらです
・北海道の愛犬家必見!|エキノコックス症の感染リスクと予防のポイント
北海道札幌市の「アイリス動物医療センター」