愛犬・愛猫の肝数値が高いときに考えられる原因と検査の重要性 -アイリス動物医療センター|札幌市白石区の動物病院

愛犬・愛猫の肝数値が高いときに考えられる原因と検査の重要性

愛犬・愛猫の肝数値が高いときに考えられる原因と検査の重要性

健康診断や血液検査で「肝数値が高いですね」と言われ、不安になったことはありませんか?

 

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、異常があっても症状が出にくい臓器です。数値の異常が見つかったときにはすでに病気が進行している場合もあるため、早めに原因を調べることがとても大切です。

 

一方で、肝数値が高い=すぐに重病というわけではありません。加齢や体質、投薬の影響などでも一時的に上昇することがあります。

 

今回は、犬・猫の肝数値が高くなる主な原因や検査の必要性、そして飼い主様にできる日常ケアについてわかりやすくご紹介します。

 

■目次
1.犬猫の肝数値とは?
2.犬猫の肝数値が高くなる主な原因
3.「薬で数値を下げる」だけでは不十分な理由
4.肝数値が高いときに必要な検査
5.飼い主様ができる日常のサポート
6.まとめ

 

 

犬猫の肝数値とは?

 


 

血液検査でよく見る「肝数値」にはいくつか種類があります。代表的なものは以下の通りです。

 

・ALT(GPT):肝臓の細胞が壊れたときに上がる酵素。最も一般的な指標。
・AST(GOT):肝臓だけでなく、筋肉や心臓にも関係する酵素。
・ALP・γ-GTP:胆汁の流れ(胆道系)や、肝臓内の炎症を反映する数値。

 

これらの数値が上昇しているとき、肝臓や胆道に何らかのストレスがかかっていることが考えられます。

 

ただし、一度高くなっただけで深刻な病気と決めつける必要はありません。
一過性の上昇もありますし、原因が肝臓以外にあるケースも多くあります

 

大切なのは「なぜ上がっているのか」を確認し、必要に応じて詳しく検査することです。

 

 

犬猫の肝数値が高くなる主な原因

 


 

肝数値が高くなる背景には、実にさまざまな原因があります。

 

肝臓そのものの病気
ウイルスや細菌感染による肝炎、胆汁の通り道が炎症を起こす胆管炎、または肝臓腫瘍などが挙げられます。これらは肝臓の細胞が壊れ、血液中に酵素が漏れ出すことで数値が上がります。

肝臓腫瘍についてはこちらで解説しています

 

他の臓器からの影響
膵炎や胆のう炎など、隣接する臓器の異常が波及して肝数値が上がることもあります。特に胆道系のトラブルは、犬猫どちらにもよく見られます。

 

内分泌疾患
ホルモンのバランスが崩れるクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や、甲状腺の病気なども肝数値に影響を与えます。

クッシング症候群についてはこちらで解説しています

 

薬剤性の肝障害
長期間の投薬が肝臓に負担をかけ、数値を上げることもあります。特に抗てんかん薬やステロイド、抗真菌薬などは注意が必要です。

 

年齢や体質による変化
高齢の犬猫では、代謝の変化や軽度の肝細胞変性により、特に病気がなくても数値が上がることがあります。

 

 

「薬で数値を下げる」だけでは不十分な理由

 


 

血液検査で肝数値が高いと指摘されると、まずは肝臓を保護する薬やサプリメントが処方されることがあります。これにより数値が一時的に下がるケースもありますが、「数値が下がった=治った」わけではありません。

 

原因を特定せずに薬で抑えていると、再び数値が上がったり、知らないうちに病気が進行したりすることもあります。

 

また、長期間の投薬は肝臓への負担をさらに増やしてしまうこともあるため、「なぜ上がっているのか」をきちんと調べることが根本的な解決につながります。

 

ただし、現在服用している薬を自己判断でやめるのは危険です。薬の中断や切り替えは、必ず獣医師と相談して行いましょう

 

 

肝数値が高いときに必要な検査

 


 

肝数値が高いときは、「どこで」「どの程度」異常が起きているのかを詳しく調べる必要があります。

 

1. 血液検査の詳細解析
ALTやALPなどの上昇パターンを見比べることで、肝臓そのものの異常か、胆道や他臓器の影響かをある程度推測できます。

 

2. 画像検査(エコー・CT検査)
エコー検査では肝臓の大きさ・形・腫瘍の有無を確認します。
より詳しく調べたい場合や、他の臓器への波及が疑われる場合にはCT検査が有効です。

 

当院ではCTを導入しており、短時間で詳細な画像を取得できるため、麻酔時間を最小限に抑えながら安全に迅速に検査を行うことが可能です。

エコー検査でわかることについてはこちらで解説しています
CT検査でわかることについてはこちらで解説しています

 

3. 内分泌検査(ホルモン検査)
ホルモンの異常が疑われる場合には、副腎皮質ホルモンや甲状腺ホルモンなどを測定します。これにより、肝臓以外の病気が原因であるかどうかも明らかになります。

 

検査は、愛犬・愛猫の体調や年齢、症状の程度に合わせて計画的に行われます。
「どこまで検査をするか」は、獣医師と相談しながら一緒に決められますのでご安心ください。

 

 

飼い主様ができる日常のサポート

 


 

肝臓の健康を守るには、日常生活の中でのサポートも大切です。

 

食事管理で肝臓の負担を減らす
肝臓は食べ物の栄養を分解・代謝する臓器です。そのため、脂肪分や添加物の多い食事は大きな負担になります。

 

食事は、脂肪を控えめにしつつ、消化しやすく、肝臓への負担に配慮した内容を選ぶことが大切です。

 

また、過度な食事制限も肝臓に負担をかけることがあります。獣医師の指導のもとで、「無理なく続けられる栄養バランス」を見つけることが大切です。

 

適正体重の維持
肥満は肝臓にも関節にも悪影響を及ぼします。特に犬では脂肪肝、猫では肝リピドーシスの原因になることもあります。

 

体重が1kg増えるだけで肝臓の代謝負担が増えるため、日々の体重チェックを習慣化しましょう。

 

月1回は体重を測る
フードやおやつの量を「目分量」でなく計量カップで管理
食事だけでなく、運動量(散歩・遊び)とのバランスを意識

 

体型の目安は、肋骨を軽く触って感じ取れるくらいが理想です。

 

定期的な健康チェック
肝臓病の早期発見には、定期的な血液検査が欠かせません。
年齢や体調にもよりますが、成犬・成猫では年1回、シニア期(7歳以上)では年2回の健康診断がおすすめです。

 

定期検査を続けることで、数値の「変化の傾向」が分かりやすくなり、病気の早期発見につながります。
「前回より少し上がった」「ALTだけが上昇している」などの微妙な変化も、診断の重要なヒントになります。

健康診断の重要性についてはこちらで解説しています

 

日常の観察ポイント
普段の生活の中でも、ちょっとした変化が肝臓の不調を知らせてくれることがあります。

 

・食欲が落ちている
・元気がない、寝てばかりいる
・尿が濃い黄色、あるいはオレンジ色っぽい
・便が白っぽい、または黒ずんでいる
・歯ぐきや白目が黄色っぽい(黄疸)

 

これらのサインに気づいたら、できるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
「気のせいかな?」と思えるような小さな変化でも、検査をすることで肝臓の異常が早期に見つかることがあります。

 

 

まとめ

 


 

肝数値が高い原因は、肝臓そのものの病気だけでなく、他の臓器やホルモンの異常、薬の影響など多岐にわたります。

 

だからこそ、「薬で数値を下げる」ことよりも「なぜ上がっているのか」を見極めることが大切です。

 

「肝数値が高いと言われたけれど、どうすればいいのか分からない」──そんな時は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

 

北海道札幌市の「アイリス動物医療センター」
011-876-8683

 

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