症例紹介 - アイリス動物医療センター|札幌市白石区の動物病院です。 普段の診察や狂犬病、ワクチン、フィラリア予防、健康診断等の予防診療。しつけの相談、専門医による診察、手術等のセカンドオピニオン、かかりつけ医からのご紹介も承ります。
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症例紹介

  • 腎線癌|mix(雌猫)

    今回はmixの猫(メス、4歳)の腎臓腫瘍(腎線癌)の治療症例です。

     

    かかりつけ医にて腎臓腫瘤が発覚し、当院を受診されました。

    超音波検査にて右側腎臓皮質に40mm大の腫瘤があり、細胞診検査にて上皮系細胞を認め、腎細胞癌を疑いました。

     

    本症例では腫瘍細胞からのエリスロポエチン産生による腫瘍随伴症候群として、

    赤血球増加症:ヘマトクリット値(HCT)75%が認められました。

     

    CT撮影をしたのち、右側腎臓摘出手術を実施しました。

    赤血球増加症では過粘稠症候群の臨床兆候を呈すため、手術日までに瀉血を実施しHCT63%まで減らしました。

    左側腎臓(黄丸)の倍近い腫瘍(赤丸)が右側腎臓に認められます。

     

    腎臓は腹腔内で一番深い背中側にある為、患側腎臓を周囲組織から剥離し、

    腎動脈腎静脈をそれぞれ結紮し切断、尿管は膀胱側まで剥離し結紮し摘出しました。

    猫腫瘍

    病理組織検査は腎腺癌という診断でした。

    摘出状態は良好でしたが、悪性腫瘍に分類されるため今後は要注意で経過観察となります。

    術後、腎数値の変動もなくHCT40%前後で安定し、術後1年たちますが良好に経過しております。

    担当獣医
    佐々木 慎弥