症例紹介
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肝臓腫瘍|柴犬
10歳 オスの柴犬の症例です。
お腹が膨れて元気がなくなってきたとのことで来院されました。超音波検査で肝臓に大型の腫瘤が確認され、血液検査では低血糖が認められたため、IGF-2分泌型の肝細胞癌を疑い、CT検査を実施することとしました。
CT検査では、肝外側左葉から発生する1300mm×1100mm×6000mmの腫瘤として確認されました。
低血糖による発作症状もあり、緊急性が高いものと判断して手術を行いました。開腹時の様子です。
かなり大型の腫瘤であり、腹部正中切開のみでは肝門部の視野を十分に確保できなかったため、左の傍肋骨切開を追加し、肝門部を露出しました。グリソン鞘を切開し、門脈、肝管、肝静脈をそれぞれ分離して、ミラー変法で結紮、切離しました。その後、残りの肝実質をフィンガーフラクチャーにて破砕し、腫瘍を切離しました。
その後、定法通りに閉腹して終了。
病理組織診断は肝細胞癌で、やや未分化な腫瘍と判断されましたが、1cm程度のマージンが確保されており、摘出状態は良好とのことでした。
術後、翌日には低血糖が改善し自力採食が可能でしたが、術後4日目から急性膵炎を併発して、内科療法にて治療を継続しておりました。担当獣医加藤 和貴
術後1ヶ月後の段階で、膵炎も完治し一般状態良好、今後は定期検診のみで経過観察としております。